日本代表は2005年の世界選手権で著しい成績を上げることができるのか。ここ数年の世界選手権の結果をみれば、それはあり得ないと言わざるを得ない。なぜなら、対世界比での成績が全く変化していないからである。
全体的にレベルがあがっているという声はある。確かに一昔前と比較すると国内でのレベルは上昇しているように思える。仮に村越を基準として比較をしたら、数年前は鹿島田しか勝てる選手はいなかった。現在は村越に勝てる選手は何人もいる。村越が年齢的に衰えてきていることを考慮しても、かつての力の差を考えれば、全体的にレベルアップしている。
それともしているのだろうか?国内においてもっとも重要である全日本選手権を考えると、未だに村越にまともに勝っているのは松澤と数年前の鹿島田しかいないではないか。世界選手権においても、そうそう村越に勝てている訳ではない。だとすれば、体力の衰えを考慮すれば、村越を基準とした国内基準でも日本の選手はレベルアップしていると言えないかもしれない。
確かに、全日本選手権以外では完全に村越との他のトップ選手の力は逆転しているが、国内においてもっとも重要なレースでそれが証明されていなければなんの意味があろう?
実際問題として、村越が2005年の世界選手権代表になり得ないことについて「残念」と思っている人は多いだろう。村越が日本オリエンテーリングの競技面における最功労者であるという意味からだけではなく、純粋に村越が代表選手であったほうが良い結果が出ると考えているからである。
もちろん純粋な(純粋なという見方があり得るとすれば)実力、つまりトップパフォーマンスのポテンシャルという意味で村越が現在も日本人ナンバーワンと思っている人はほとんどいないであろうが、結果を出すという意味では村越がナンバーワンと思っている人は多いであろう。実際の全日本選手権という結果がそう表しているのだから、当然である。